くもりのち

44歳、不妊治療とそれなりの日々。天使からリプロ東京に転院しました。

おばあちゃんと夏みかんの木は

 

隣に一人で住んでいらしたおばあちゃんが突然、引っ越された。

気のいい、男前なおばあちゃん。

 

前々から、測量屋さんが来ていたりして、うちの境界との立ち会いに旦那が行ったり

していたのだけど、その時さりげなく聞いても、引っ越すとは言ってくれなかった。

(将来の財産分与のために測量するとかもあるらしいし)

 

でも、薄々引っ越しかなとも思っていた。

おばあちゃんには、東北に具合のあまりよくない旦那様がいるらしい。

でもこの地を離れたくないのだと。

 

 

以前、ポストに蛇腹折りされた手紙が入っていた。

筆ペンで縦に書かれたそれは、達筆すぎて解読が難しく、誰かからの果たし状かと

震えたが、それはそのおばあちゃんからで。

我が家の窓から見える、おばあちゃんの庭の夏みかんを食べないかとの誘いだった。

(誰かからの果たし状じゃなくてよかった・ ・ ・ )

 

この地に引っ越して8年、ずっとおばあちゃんのお隣さんをやらせてもらってた。

窓から見える夏みかんのある風景も、私たち夫婦とずっと一緒に過ごしてきた。

 

 

先週、ちょうど採卵の日の朝、挨拶に来てくれたようだったけど、当然家を出た後で。

その後、すぐ東北に行ってしまったのか、我が家を訪れることはなかった。

 

 

昨日から、解体工事が始まった。

広い広い庭で野菜を育てるおばあちゃんと、夏みかんの木がある風景は、もう二度と

見られないんだね。

 

さみしいな。

 

 

引っ越してきた当初、赤ちゃんができたら見せてね!と言ってくれてたおばあちゃん。

それもついに叶わなかった。

 

解体した後は、3軒の新しい家が建つらしい。

(おばあちゃんちの庭でかすぎ)

当然のように、赤ちゃんやちいさい子供たちのいる家族がやってくるのだろうな・ ・ ・ 。

 

不妊だとわかり、流産しまくってからは特に、新興住宅地じゃなく、昔からの

土地に家を買って良かった♬と思っていた。

でも年月が経てば、世代交代で周りの住人も住環境もあっさり変わってしまう。

 

これからどんなふうに変わるのかな・ ・ ・ 。

 

子ナシ確定したら、すぐにでも二人暮らし向けのマンションに引っ越したい。

持ち家を失う恐怖はあるけれど、自分の家だけ子なしの環境で暮らすのは、不妊様の

精神状態がもちそうもない。

 

 

おばあちゃんと夏みかんの木と、そう遠くない時期に私も。

 


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